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放送日 平成24年 6月16日(mp3形式音声ファイルはこちら→) 
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 放送内容は、著作権の保護を受けますので、個人でお聞きになる以外のご利用は出来ません。
ちょびっと
タイトル: あなたの町の愛し方~我が町の自信と誇りin東山~
概要: ゲストに京都造形美術大学教授であり造形作家でもある関本徹生氏をお招きし、“まか通”の活動を通じて、アートの目線から見た町づくりについて、お話ししていただきました。
出演者:
関:関本 徹生(てつお)氏 京都造形芸術大学教授 造形作家
プロジェクトセンター・副センター長
ものづくり総合研究センター・副センター長
櫻:櫻澤 克征(よしまさ)氏 京都造形芸術大学 
美術工芸学科総合造形コース(陶芸)四回生
ティーチングアシスタント
大:大屋 みのり氏 京都市景観・まちづくりセンター 
絹:絹川 雅則   (公成建設株式会社)

左から、絹川、関本氏、櫻澤氏
ちょびっと
 
 
   放送内容については、無断使用を禁止させていただきます。この件についてのご連絡はこちらまで。
 絹:  “まちづくり”チョビット推進室!
Give me thirty minutes,I will show you the frontline of “まちづくり” and “まちづくり” people in KYOTO.
  ************************************************************************
絹: 皆様こんにちは。
まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとの紹介や、その活動の最前線をお話ししております。
いつものように番組のお相手は、当まちづくりチョビット推進室、絹川がお送りいたします。

■ちょっと異色のゲストです
絹: さて、本日のゲスト、お三方ご紹介いたします。
メインのお二人、まずは京都造形芸術大学アーティスト、造形作家でいらっしゃいます関本徹生先生です。
関: よろしくお願いします。
絹: お願いします!
そしてその弟子筋にあたります、京都造形芸術大学美術工芸学科陶芸コース4回生、櫻澤克征さん。
櫻: はい、よろしくお願いします。
絹: そして、このお二人を引っ張って来られましたのは、京都市景観・まちづくりセンター、大家みのりさんです。
大: 大家です。よろしくお願いします。
絹: はい、それでは番組の方に入らせていただきます。
今日の番組のメインタイトル、テーマでございます。
「あなたの町の愛し方~我が町の自信と誇りin東山~」と題してお送りいたします。
さて、どんなお話が飛び出しますか、御期待下さい。
ゲストの紹介、もうちょっとやりますね。
櫻澤さん!関本先生とはどんな先生か、短く述べよ。
櫻: はい!関本先生は、まずパワフルです。
そして若さが溢れています。
学生以上に行動派で、知識量が広辞苑を超えているのではないかと。
そんな感じの、はい。
絹: ほう、広辞苑を超えている先生ですか。
見た目は全然そんな感じはないですけどね(笑)
なんか、頭突きが強そうみたいな(笑)
櫻: いやあ、見た目は、はい、あれですけど(笑)。
絹: 失礼を申し上げました(笑)。
それでは関本先生、櫻澤克征さんとは、どんな人ですか?
関: 学生一様に言えることなんですが、みんな元気がないんですよね。
その中では唯一、櫻澤は一回生の時から少しだけ元気があったかなと(笑)。
で、この元気をもう少したくさん身につけるために、集中的に目をかけるというか、仕込んでいった男なんですけども。
絹: それを平仮名で平たく言いますと、「いじめた」あるいは「しごいた」という・・・(笑)
関: 「しごいた」というやつです。
櫻: しごかれました(笑)
絹: では大家みのりさんは私から。
京都市景観・まちづくりセンター5年目、大家みのりさんです。
まちづくりコーディネーターという仕事、地域に入りこんで、お仕事をされています。
皆さんは御存じかもしれませんが、京都市景観・まちづくりセンターの英語訳、横文字は、知る人ぞ知るであまり知られてないですよね。
“Kyoto center for community collaboration”でしたっけ?
大: はい。
絹: ここにまちづくりセンター、愛称まちセンの本質があります。
大家みのりさんです。

■第一章 “まか通”ヒストリーの八年
 ●登り窯を使ったトークイベントから始まりました
絹: では、第一章、“まか通”ヒストリーの八年と題して、プロジェクト“まか通”の話から入っていただきますか。
先生、お願いいたします。
関: 八年前に、藤平陶芸さんに現存する登り窯がありまして。
絹: え?何陶芸さん?
関: 五条にある藤平陶芸です。
そこに築100年以上経っている九室の登り窯があるんですけれども、これを何とか再生活用できないかという相談から始まりました。
そこで毎月一回、その登り窯をステージに使って、色んなトークイベントをしていました。
そのイベントとはどういうものかというと、京都の裏の歴史を探っていく・・・
絹: ほぅ、ほぅ。
関: 観光客はたくさん来はるんですが、何回も来てはる人たちは「もうそれはいいんだ」と・・・
「もうちょっと別の形の京都をみたいんだ」という要望に応えて、「実はこうなんだよ」という裏の歴史を、毎月一回色んなゲストを迎えて、一年半くらい、ずっとイベントをやっていたんです。
絹: ディープな京都・・・。
関: ディープな京都です。
絹: で、藤平陶芸さんの登り窯、100年くらいの・・・すみません、私、あの辺土地勘がなくて、六原(六波羅)でしたっけ?
関: そうですね。
絹: 五条を東大路の交差点から言うと、西北の方向に広がる辺りですか?
櫻: 松原通り・・・。
関: あのへんね、ちょっと説明しづらいんですけどね。

 ●“まか通”名前の由来
絹: そうですね。ちょっと高低差もあったりしてね。
で、そこに登り窯が現存していると。そこでいろいろトークイベントからスタートされたというのが、“まか通”の始まりですか。
関: そうですね。
それでだいたい1年半が過ぎて、それからちょっと別の形で変えていこうということで、“まか通”と。
それまでは“京都まか不思議案内ライブ”というちょっと長ったらしい名前ですけど。
絹: “京都まか不思議案内ライブ”。
関: ・・・っていうプロジェクト名だったんですけど、そこから方向性を変えようということで、“まか通”と。
これは“まか不思議”の“まか”をもらって、“通”は通り、ストリートですね。
ストリートとNo.2のツーと、「お宅はツウだね」という粋とか通のツウと。
絹: いろんなん、引っ掛けてたんですね。
関: その三つをひっかけて“まか通”となってたんですけど、その後もずっと引き続き登り窯でイベントをやっていたんです。
やっているうちに「登り窯の存在する六原って、いったいどういうまちなんや」というのが、徐々に学生たちから出てきたんですね。
で、イベントをするにしても何をするにしても、そのまちを知らないと意味がないじゃないかということで、六原のまちをフィールドワークする、まちを知っていくと言うか。で、その時もフィールドワークと言っても、単純にまち歩きをするのではなく、いわゆるアートの目線でフィールドワークをしようと。
僕はそれをアートフィールドワークと言っているんですけど。

 ●アートの目線でフィールドワーク
絹: あのね、それ、僕にとっては大変新鮮というか、角度が違うなあと。
僕は建設関係の仕事をしてますから、まちづくりと言うと、ハードだとか、都市計画だとか、そんなところからついつい見ちゃうんですよ。
でも、まち歩きがまちづくり活動の「あいうえお」の「あ」だと言われる研究者がたくさんおられて、まち歩きイベントを一生懸命なぞっているんですけど、アートの目線でそれをなさっている方って、あんまり聞いたことがないです。
関: たぶん僕が初めてだと思います。
で、どういう事なのかと言うと、例えば「蟻の目線」、つまり下ばかり見て歩くというね。
絹: どこかにありましたね。地面の方にカメラを向けて、カアーっと(笑)。
関: そうそう、そこからミニ庭園という一つのイベントも出てきたんですけどね。
それから「鳥の目線」といって、今度は逆にまちを俯瞰で見ていくとか、あとは音だけでまちを見ているとか・・・
そうするとね、まちの地図が変わってくるんです。
絹: それって、「あなたの町の愛し方」の中か、どっかで、ブラインドウォークをやったはる写真があったの、それですか?

 ●忘れていたものを、別の目線で再発見
関: あ、それとは若干違うんですが、基本的にそこから発展していったような形なんです。
なんでそんなことをするんかと言いますと、見過ごしてしまっているものが、たくさんあるんですよ。
忘れてしまっているものとか、色んなものがあって、それを全部もう一度別の観点から眺めていこうということで、そういうことをしているわけです。
そうすると色んなものが発見できる。
例えば、一番最初、屋根と空の境界線を注目しろということで、フィールドワークしていくわけですね。
そうすると鍾馗さんが出てきたわけです。
絹: ははぁ。
関: で、「あれは何やねん」という話になって、調べていくと色んな所に、鍾馗さんがあると。
逆に「蟻の目線」で行くと、今度は地蔵さんもたくさんあると。
地蔵さんって、なんとはなしにイメージがあると思うんですが、よく見ると二通りの地蔵さんがあるんです。
一つはある程度顔ができている地蔵さんと、まるきり石だけのお地蔵さんがあると。
絹: ああ、そうですか。
顔がないというか、シルエットでゴツゴツと荒削りのお地蔵さんもいはる、知りませんでした(笑)。
関: それと、あと方向性ですね。
どっち向いているというのがある。
絹: え!?、お地蔵さんは、普通どっちを向いたはるんですか。

 ●見つけてきたものを裏付け調査
関: あれはそれぞれ違うんですよ。
だから必ず町と町との境界線にお地蔵さんがあるんですね。
地蔵さんは道祖神という、もともとは境を守る神様なんです。
そういう色々フィールドワークで見つけてきたものを、今度は裏付けで彼らに勉強してこい、調べてこいということで、色々させているわけです。
絹: その“まか不思議”からの“まか通”の始まりというのは、そういうアートな目線でのフィールドワークというか、まち歩き by 造形大の学生さんたちから始まったわけですね。
関: そうですね。

 ●フィールドワークは数百回積み重ねています
絹: で、それを続けてはって、「蟻の目」と「鳥の目」で見て、裏付けの勉強をしはったと。
そうしているうちに、恐らく周りの町内の人が「こいつら何しとんねん」みたいな反応なかったですか?
櫻: いっぱいあったと思いますね。
若い子たちが、地図を持って歩いていて、「何しているの?」とかって、お話をしたりして。
そこから逆にもっと深い話、聞きこみ調査みたいになっていったりとかすることは、度々ありました。
絹: 地域の人から知らんかったことで「あんなあ、これはなあ」という話、結構拾えました?
櫻: そうですね。
鍾馗さんとかは、すごい色々お話があって・・・鍾馗さんて、中国から来た屋根瓦の上にたたずんでいる置物なんですけれども、様々なポーズがありまして、そのポーズもちゃんと所以があるよというのを聞いたんですけど、そこから先は教えてくれないんですね(笑)。
関: それは知らないんです(笑)。
櫻: そういう話とかは結構あったりしました。
絹: そういうフィールドワークっていうのは、結構何回も積み重ねはったんですか?

 ●集めたものをイベントで地域に還元
関: 数百回ですね(笑)。
ただ、同じまちをぐるぐる回っても、毎回新しい発見があるんです。
何でかと言うと目線が違うからですね。
そういうものを集めて、一つのテーマにしてイベントとかワークショップで、また地域に還元していくと。
それで地元の人たちに来てもらって、「こんなんオモロイもの、あるねんで」と見てもらうと、地域の人たちも「ああ」ということになってくるわけですね。
絹: その数百回に及ぶフィールドワークを地域に返していくという形で、ワークショップとかイベントを次は仕掛けていかはるわけですね。
例えば代表的なのはどんなのがありますか?

 ●イベント「ミニ庭園」はオモシロかった!!
関: やっぱり一番最初のミニ庭園。
櫻: そうですね、ミニ庭園。
絹: ああ、あのありんこの目のやつ。それは写真か何か撮らはるんですか。
櫻: そうですね。
まちの中のちょっとした人工物であったり、または自然を、違う目線で撮って・・・「パテの滝」が一番(笑)。
絹: 今、何て言わはりました?
櫻: パテです。
絹: フランス料理のパテじゃなくて・・・。
櫻: 水中ボンドとかの。
絹: 防水だとか、風呂場のコ―キングのパテですね。
櫻: あのパテが、要は家が沈んだりして、ひびが入って、そこに埋めてあるんですけど、それがまあ、いい感じに盛られて月日が経って、それが滝のように見えると。
絹: あ、パテの滝!

 ●地元の方のほうが大盛り上がり!
関: 石垣が積んであって、その石垣を留めるためにパテを塗ってあるんですけど、それをあるおじさんが写真で撮って、「パテの滝」という。
で、その「パテ」も「波照(パテ)」という、なかなかええネーミングをつけてあるんですね。
絹: 「波が照る」と書いて「波照(パテ)」。
そのアート目線て、とんでもないものを見つけはりますね(笑)。
関: このミニ庭園というのは、みんなが遊べましてね。
足元にちょっとした苔が生えていて、そこにちっちゃい石が転がっているだけで、それを拡大すると、立派な石庭になるという。
絹: ほほう。遊んだはりますなあ(笑)。
関: それがたくさんあるんで、そんなんで、みんな暇になったら遊んではったらどうですかという。
絹: それに対する地元の方の反応はどうでしたか?
櫻: ああ、もう地元の方のほうがテンションが高くて。
関: すごい写真を撮って。
絹: あ、研究室というか、学生さんよりも。
櫻: もう、全然!
絹: で、撮ってきはった写真を、ザーッと壁に貼るとか、地面に置くとかして、みんなで見はったんですか。
櫻: はい、タイトルつけて(笑)。

 ●造形大ならではの、オモロイ仕掛け
関: で、そこでちょっと違うのは、うちの大学の先生で庭園を研究してはる先生がいてはりますので、その先生をゲストに呼んで、実際に本当の庭園から見た時、どうなんやとか、そういうのを色々トークしながら。
絹: 苔がはえてて、石がちょんと置いてあると。
その拡大写真を見て、その庭園の専門家の先生は、「これはひょっとして小堀遠州のなんたらよりもええかもしれん」とか、のたまうんですか(笑)。
櫻: それがまた、濃いんです(笑)。
絹: という形で、フィールドワークがだんだん地域の方に溶け込んでいくというか、参加されるようになったんですね。
他にはどんなイベントを、フィールドワークの延長線上としてなさったんですか。

 ●目隠ししてフィールドワーク
関: 今さっき言った「目隠ししてやる」とか、あれも結局アートフィールドワークの中には、五感を鍛えるというのもあるんですよ。
絹: ほう、五感を鍛える。感受性トレーニングみたいなものですか。
関: そうですね。
町の中にも匂いがあったり、音があったり、色んなものがあるんですが、普段意識してないと匂いも感じないですね。
それを少し鍛えようということと、もう1つは危機管理ということ。最近の若い子は必ずヘッドフォンしてまちを歩いてますよね。
そうすると後ろから来る車の音とか全然聞こえなくて危ない。
それやったらちょっと五感を鍛えようということで、それは小学生かな、子どもたちと、もちろん大人もたくさん来てたんですが、そんなワークショップをやっていくわけです。
絹: なんか、オモロイことをしたはりますね。
元々関本先生も櫻澤さんも、造形と言うか、芸術畑の方ですね。
その方がまちに入りこんで、多分、これは勝手な想像ですけど、造形作家というか、ものをお造りになるためには、そういう五感を鍛えたり、蟻の目で見たり、鳥の目で見たり、音を聞いたりというのが必要やから、「おい、ちょっとやっとけ」と関本先生は言うたはるんですよね。

 ●目線を変えて、考えてみるのは大事なことです
関: というか、別にアーティストやからとか、芸術を勉強しているからとかいうんじゃなしに、これは普通の人にも言えることやと思うんですけど、やっぱりモノの見方を変える事によって、自分の生き方も変わってきます。
やっぱり目線の違いですよね。
これは一般的にはこういう考え方をされているけど、実は裏を探ってみると別の考え方があるよと。
価値感をちょっと変えてくるというか。
櫻: 側面性と言うか。
絹: さっきの登り窯のところで、トークイベントをされていた時も、裏の京都やと。
ディーペスト京都やという話をされていましたが、切り取る角度とか、見る方向を少し変えてみようという意図があるわけですね。

■第二章 “六原ハウス”に住みながら
 ●京都新聞の記事から
絹: 関本先生がずっと関わってこられたわけですが、櫻澤さんで歴代 “まか通”の四代目、五代目?
櫻: 五代目です。
絹: 地域に入って行かれて、おそらくそのお話から想像しますと、六原の地域の人たちに影響が出始めているように聞こえるんですけど。
櫻: 六原に限ってではないんですけど、東山区全体でやはり少子高齢化の問題やそれに伴って空家問題などがありますので、僕たち若い者が、やはり地域を盛り上げる潤滑油のようなものなのでしょうか。
で、地域と若い人たちが交流して、地域を盛り上げ、そして地域の良さをどんどん発信していく、そういう役割に、たぶん僕たちはいるのかなという気がしています。
絹: 私の手元に「あなたの町の愛し方 4」それから「あなたの町の愛し方 3」、今は5になっていますね。
A5判くらいのサイズで厚みが8mmくらいの結構つくりこんである小冊子があるんですけど、皆さんチャンスがあったら、これは読み込まれるとすごい面白いと思うんです。
フィールドワークをなさっているだけじゃなくて、こういう報告書のような形にしても“まか通”さんたちは、非常に地道に書いたり、積み上げたりなさっている様子が、これからも見てとれます。
そして“まか通”というのは、八年経っていると。
今年の1月の京都新聞なんですけど、「ほな、また、あした、まちの縁側から」という連載記事、結構でかく“まか通”さんと関本先生が関わっておられる“六原ハウス”というのが、取り上げられています。
『空家に学生 町内の一員に「住んでこそ」の交流生む』という見出しが躍っておりますが、櫻澤さんから出た空家という事に関して、この記事も含めて、コメントいただけますか?
あるいは大家さん、大家さんが「関本先生面白い、この人たちはなんかすごい!」と私に教えて下さったので、この辺のことも、何かコメントありますか?

京都新聞2012年1月5日の記事から
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大: はい。私は六原学区に関わらせて頂いて、今5年目なんですけど。
絹: ほんなら、まちセンに来てからずっとですね?

 ●学生さんが地域の空家に住むということ
大: そうですね。
はい。最初はどういうお手伝いをしたらいいのかわからなくて、試行錯誤でした。
私の方は地域の自治連さんを中心に、まちづくりの支援をさせて頂いているんですが、特に空家の問題に力を入れていらっしゃって、私が来た時は、すでに“まか通”さんは、地元の方とすごく仲良く取組みを進められていました。
空家の事業もだんだん軌道に乗り始めたところで、“まか通”さんで、「学生さんが空家のとある一軒に住む事になったよ」というのを聞きまして、すごいなと思ったんですよね。
やはりフィールドワークで取り組んできた地域に自ら身を置いて、そこを拠点にどんどんやっていこうという、その思いが、なかなか真似できることではないし、いったいどういう思いで、どういうことをこれからされようとしているのかを、是非今日、みんなに聞かせて頂けたらと思っております。
絹: はい、ありがとうございます。ちょっと記事を読みます。
「2010年12月、この庭は雑草に覆われていた。庭を囲む家屋の一棟は空家だった。まか通の学生を指導する関本徹生教授が「おまえ、ここに住むか?」3年の櫻澤克征さんが「住みます!」と即答した。四畳半でも、約20坪の庭が宝の原石に見えた。
六原地区は住民3人に1人が65歳以上。独居世帯が多く、空き家やコインパーキングが増え、街並みが刻々と変わりつつある。」
という記事です。これですね?
櫻: はい。
絹: 関本先生は、ほんまに「住むか?」って、言わはったんですか?
「住め」と言わはったんでしょ(笑)
関: もう「住め!」と。
櫻: 住んじゃいました(笑)。
絹: 六原ハウスは、櫻澤さんが四代目まか通?
櫻: あ、五代目です。
絹: 五代目で塾頭かな?
櫻: いやあ、まあ(笑)。
そうですね、学生の拠点であり、地域との交流の場であったり、はい。
よくイベントとかワークショップの場に・・・。

 ●学生を地域に送り出すというリスク
絹: ここに地域の人と餅つきをやってられる写真とか、女子大生が孫を連れた近所の女性とお餅を丸めてはるとか。すごいですね。
でも、こういうのを見るにつけ、私は“まちの縁側”の一つとして、この六原ハウスを捉えておりますが・・・
関本先生にお聞きしたいんですが、学生さんを地域に送り出す、フィールドに出すというのは、指導する教官の側からすると、実はすごく勇気のいることだと私は思っておりまして、密かにそういうことをされる先生方を尊敬しております。
と言いますのは、リスナーの皆さんにもわかっていただきたいのですが、学生を送り出すということ、まともな学生ばかりではありません。
モノを知らなくて、礼を失したりして、地域の人を怒らせたり、「お前らなんか、二度と来るな!」と言われてしまうと、研究室だけではなくて、大学も信用を失ったりします。
それを八年間も、そういうリスクと隣り合わせの授業を続けてられて、ついには「お前、住め」と(笑)。
ということは、どれだけ地域の人たちが信用したはるか。「よう、来たなあ」みたいな感じじゃないんでしょうか。

 ●学生を引き継ぎながら地元に信用を得ていくんです
関: 最初はやっぱりそうだったんですよ。
地域の人も「学生さんが来ても所詮四年間でおらへんようになるやろ」と。
だから遊びでやっているのと違うかなという意識でずっと見られていたんですよ。
でも実は彼らはそれを先輩から後輩へ、ずっと引き継いでいくわけですよね。
だから櫻澤も四年間ずっと六原に顔見知りで、自治連合会から地元までみんな顔を知ってますけど、彼が来年卒業しても、その後また何人かがおるわけです。
それをまた引き継ぎながら、町内会の首長の会議だとか、色んな会議に出席していって、それで初めて地域住民の信用を得ていくというやり方をとっているんです。
絹: すごいですねえ。
この記事にも「歴代の学生が、ほぼ毎月の町内会長会議に顔を出す」と。
関: 今でもそうです。
絹: 私、赤線引いたんですけど(笑)。
これ、さらっと書いてありますけど、信じられへん部分がありませんか?
リスナーの皆さんにお話ししたいんですけど、「世の中でこんな不思議なことが起きているんですよ」と。
これは面白い現象と言うか、すごい現象です。
関: あと、回覧板にもね。
櫻: はい、回覧板にもチラシをまわさせていただいてます。
絹: 皆さん、これが“まか通”の八年のさわりであります。
もう残り少ない時間ではありますが、今後の方向性についても、ちらっとお二方に語って頂きたいと思います。

 ●これからは“コト起こし”に挑戦します
関: 今までやってきたんですけど、結局、反省として、色んなことを提示したけれども、結局それ以降進んでないんではないかなと。
今回、六原ハウスにもう1人すんでいるんですけど、今2人住んでいて、これをきっかけに・・・。
絹: 人身御供が2人ですか(笑)。
関: そうそう。今度、後輩が引き続いて住んでいるんですが、やっぱり外の目と内の目をしっかりと見据えていこうと。
で、次のステップで何やとなった時に、やっぱり“コト起こし”をするっていうか。
絹: “コト起こし”・・・。
関: “コト起こし”をデザインする。
だから今まではただ提示しただけだったけれども、そうではなく我々も実際に町の中に入っていって、一つの地域の文化なり風習なりをもう少し見直しながら、そこで町をデザイニングしていくと言ったらおかしいですけど、“コト起こし”をしていく。
その一つに、先ほど出た鍾馗さんですけど、例えばお地蔵さんは地蔵盆というお祭りがちゃんとある。でも鍾馗さんにはないんですよ。
ほとんど鍾馗さんと地蔵さんと同じ役目をしているにも関わらず、鍾馗さんに感謝するものがない。
だから今年はまず、鍾馗さんの祭りをつくりたいと思っています。
実は地元の古い住民と新しい住民に溝があるんですよ。
古い住民の人たちは、地域の風習とか文化をちゃんと守ってやっているんですけど、新しい住民の人たちはなかなか受け入れられないと言うか・・・「そういうのは知りません」では困るので、その一つのきっかけとして鍾馗さんなどで、みんなでつくっていこうということを考えてます。
絹: ありがとうございます。時間が足りなくなってごめんなさい。
またこのシリーズはつくると面白いなと思いますので、御期待下さい。
六原学区ですごい事が起こっています。
皆さん、“まか通”という言葉と六原ハウス、それから造形大学の関本先生のお名前は是非ご記憶下さい。
さあ、最後に告知です。

 ●まちセンからの告知です
大: 景観・まちづくりセンターでは、町家の改修助成「京町家まちづくりファンド」の募集を6月29日までしておりますので、改修をお考えの方はお問い合わせください。
絹: ありがとうございました。
この番組は、心を建てる公成建設の協力と、京都府地域力再生プロジェクト、そして我らが京都市景観・まちづくりセンターの応援でお送りしました。
皆さん、“まか通”オモロイです。ありがとうございました。
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